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The Secret of Darkwoods 前回までは・・・
記憶も能力も失ない、闇の森で目を覚ました〝俺〟。村を見つけ、そこでリハビリがてら依頼をこなす冒険者になった。
◆ダークウッズ秘録 第03回 (2024.03.14)
このイラスト、ランダムエンカウントの盗賊なのだが、「俺」の姿だと思ってもらっていい。盗賊から奪った装備を身に纏っているからだ。
老いらくのロマンス
かつて美声の歌手として国の貴族のため歌っていたという、村の名士といってもいい白髭の老人がこんな依頼をしてきた。
「昔からの親友の誕生日に贈り物をしたい。もう歳で出歩けないが、このワインとエルフのパン、そして昔書いたこの手紙を、カルデホロウ村に住むアルシニアに届けてくれないか」
おや、さすが芸術家。老いてなおロマンティックだ。
薄汚い冒険者風情ではあるが、クピドの真似事でもしようではないか。
カルデホロウは、なだらかな丘に囲まれた谷間にある。空気は冷たく、遠くから小川のせせらぎの音が聞こえる。
俺は、アルシニア・グリーンシールドの家の前に立っている。
だが、ノックをしても全く返事がなく、中からはなんの気配も感じない。しかし、二階の窓が開けっ放しだ。
嫌な予感がする。こういう予感は大抵当たるものだ。
この際だから雨樋を伝って二階の開いた窓から侵入する。鍵開けスキルは身につけてないが、先日クライミングスキルは教えてもらった(痛い出費だったが)。
やはり冒険者には愛の伝令者より、こちらが似合っているに違いない。
災厄の家
雑然とした部屋。あまりに静か過ぎる。人の気配がまったくない。
なのに、ふと目を向けたベッドに誰かが横たわっている。
思わず息を呑む。肌に粟が生じるのを感じた。
おそらく彼女が、俺が贈り物を届ける相手だろう。いや「だった」。
もはや息をしてないのは明らかだ。年齢的に自然死も考えられるが、そばにある空のコップや死体の様子に何か不審なものを感じる。
記憶を無くす前の俺の本能が、警報を鳴らしているのだろうか。
その時、背後に気配を感じた。
男がいる。相手もここに他人がいると思っていなかったようで、虚をつかれて呆けている。
「そうだよ、俺が殺したんだ。この婆さんの宝をもらいにきた。婆さん、金と魔法のアイテムをたっぷり溜め込んでいるらしい。金貨150枚、幸運の指輪、速さのマント、大したものだ!隣人の弱みを握って毒をいれさせて、いざ来てみたら・・・」
聞いてもいないのに、べらべらと喋り始めた男に、体当たりをかます。
ふっとんだ男に馬乗りになり殴りつける。しばらく無言の殴り合いが続く。
男を投げ飛ばした先の食器棚が倒れる。大音響とともに男は下敷きになり、潰れて死んだ。
***
なにかのスキルを持っていると(集中力とか薬草学とか?)、死体の検死やコップの毒薬の有無の判断などができるようで、ますますミステリ味が増したはずだが、このときはクライミングのスキルしか持ってなかった。残念。
帰途、また盗賊の襲撃にあう。さっきの毒殺魔といい、この国は盗賊がはびこっていて旅をするのも命がけだ。
ランダムエンカウントの盗賊イラストコレクション。他にもある。このゲームに登場する敵の中でも、妙にかっこいいのが盗賊。
***
村にもどり、女性の死を告げると、爺さんは言葉を失った。
やがて、重い口を開き、彼女を殺した奴はどうなった?と聞く。
俺が殺した、と告げると、うなずいて、葬儀を手配するよと言った。
「彼女への贈り物は、君が使ってくれ」
***
実は贈り物として持っていった「エルフのパン」を、道中うっかり食べてしまっていた。HP回復アイテムだと思って(^^;(実際そうなんだけど)。
正直、そのことが問題にならなくて胸をなでおろした。クピドとしてもメルクリウスとしても落第のそしりを免れない。
この日記を書いたのは、3月14日のホワイトデイだった。別に図った訳ではなく、今になって偶然気がついた。まあ、ハッピーラヴとは程遠いエピソードだが。
◆ダークウッズ秘録 第04回 (2024.03.15)
一瓶のワイン
「シャトーボウゴン?葡萄酒ですか?」
「一生に一度めぐり逢えたらラッキーのヴィンテージよ」
アンジェグノリイ夫人は、この小さな村の富裕層に属している。
どうやら、好事家にはとんでもない価値のあるワインを、コレクションしたいようだ。
一本のワインを手に入れるために金に糸目をつけない輩はいる。
経済を回すためにも、金持ちにはせいぜい気前よく使っていただこう。
ワインは、“混沌の笑いの地下蔵”というおかしな名前で呼ばれる場所にあるらしい。実質はかなり危険なダンジョンのようだ。
狂気のシェフ
何日かをかけて、地下蔵の入口にたどりついた。
巨大な樹木にドアがついたような入口。危険な香りが広がっている。
入ると崩れかけた薄暗い廊下が続いている。
先に進めば階段だが、横のドアから何かを焼くような音が漏れている。
誰かがいるのか?
ドアを開けると、雑然としたキッチンのような部屋。使用中のようだ。
不快な臭いが漂っている。
物陰から突然、恐ろしい形相のグロテスクな料理人が現れた。睨みつけるような目で、ニヤリと笑い
「ああ、やっとお客さんだ!よく来たね、腹が減っているだろう。遠慮せず食え」
腐った肉とカビのはえた野菜でできた、何かドロドロしたものの入った鍋を差し出してきた。
「さっき食ったばかりで、腹が減ってないんだ」
後退りつつ言うと、怒りと狂気と絶望の表情に歪んだシェフが眉をひそめる。彼は悲痛な嘆きを漏らし、耳をつんざくような悲鳴を上げる。泡を吹きながら、ナイフを振りかざして突進してくる。お前の肉を食ってやる!
キッチンはさらに雑然とし、血しぶきが天井にまで模様を描く。
狂気のシェフを倒すと、戸棚にワインが眠っているのを発見した。マニア垂涎の神の雫である。
これで依頼は終了だ。
だが、さっきの廊下の階段の先には何があるのだろう。
宴会場と玉座の間
階段の先は右と左に分かれている。
右の長い廊下の先には誰もいない玉座の間があった。
部屋を探すが大したものは見つからない。
廊下を引き返し、わかれ道を左側に進むと、巨大な宴会場に出た。かつては壮麗だった名残りはあるが、瓦礫と蜘蛛の巣に埋まっている。朽ち果てた調度品や食器が散乱している。
さらに奥の部屋に進むと、眼の前にハーピーがいる。
醜い顔に悪意に満ちた目。羽を広げ、ものすごいスピードで襲いかかってくる。鋭い爪が皮膚を切り裂く。
とてもかなう相手ではない。
なんとか逃げ出した俺は、村に帰る。
マダムは待望のグランクリュを入手してご満悦だ。
俺の勇気を讃え、皆にも伝えるという。ワイン一瓶に100Gの報奨金。
さて、住民のクエストはほぼ終え、かなり戦闘のカンも取り戻してきた。俺が倒れていた森の情報を入手するために動く頃合いかもしれない。
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