CRPGを楽しむためのメモ

PCOTで海外ゲームを日本語翻訳しながら遊ぶ

PCOT翻訳で遊ぶ【ダークウッズ日誌】まとめ1〈00日~02日〉闇の森にひとり

●『ダークウッズ日誌』PCOT翻訳プレイ|インデックス

●PCOT翻訳基礎知識:その英語ゲームは、今すぐ日本語で遊べる【PCOTへの誘い】
●Morrowind旅日記 ●発売初日から日本語バルダーズゲート3日記  ●ゆぴ1号(Bluesky | Twitter

はじめに( The Secret of Darkwoods の特徴)

『The Secret of Darkwoods』


これまで、Morrowindバルダーズゲート3PCOT日本語化翻訳体験日記を、Twitterで書き、このブログでまとめてきたが、その第三弾である。
前のふたつと違うのは、超メジャーな二作品と違い、無料のインディーゲームであることだろうか。

これは、見た目も内容も「電子ゲームブック」そのものであり、いわゆるCRPGと聞いて思い浮かべるものとはひと味違っている。 *1

だが、もともとのゲームブックが、ひとりで遊べるテーブルトークRPGを目指したものであったことを鑑みれば、むしろ正統派RPGの末裔と考えていい。そう言い張れるほど、しっかりと作り込まれている。もっとも、そんな権威主義を振りかざさなくても、このゲームは抜群に面白い。

町などを出たときに開くマップ。ロケーションの数が圧倒的。
しかもいつでもどこにでもいける。右上の窓で場所の検索までできてしまう。
なので、場所の名前は英語のままメモしておくほうがいい。

ランダムエンカウントもいろいろある。

圧倒的ロケーション数や、状況やステータスの変化、プロシージャル処理、双方向に行き来できる自由さなどは、アナログゲームブックでは難しい特徴だ。オープンワールドの冒険をテキスト主体で表現することが、これほど合うとは思わなかった。
このゲームは、オープンワールドCRPGにとっても、アナログゲームブックにとっても、新たな可能性を示すもののような気がする。

画面は開いた形の本に見立てられており、左ページにMidjourneyによる美麗なAIイラスト、右ページがテキストという構成。
フォントはきれいで、文章は明快、メインのテキストの表示位置は決まっているので、PCOTの固定翻訳によるショートカットで次々と訳せ、まったくストレスがない。英語ゲームをやっていることを忘れてしまうぐらいだ(ちょっと盛ってます)。

Typoraで作ったデータベース。人物やダンジョン、町などを階層管理できる。
画像も入れられる。しかも全部コピペでできてしまう。

しかも、訳した文章はコピペし放題なので、自分で日本語ログブックを作るという、PCOTを使ってるからこそできる、便利すぎる裏技も使える。このことはMorrowindのときも書いた。
今回マークダウンエディタの「Typora」にコピペしたら、町の名や人物名をアウトライン階層管理できて死ぬほど便利になった。スクショも貼れば、画像をふくめたデータベースが出来、ゲームを円滑に進めるだけではなく、この「日記」を作る際にも大変役立った。

とにかく、このゲームはオープンワールドRPGの本質を十二分に表現し得ている。無料の割にはとか、インディーズの割にはとかいう枕詞は必要ない。
それが、なぜか無料という不可思議さ(古いものではなく昨年の作品)。
AI画像がけしからんとか、そんなのユーザーレベルではゲームの本質となんの関係もない。

だから、とりあえずSteamに行って、ありがたくいただこう。
日本語化されてないなんて気にする必要はない。
 PCOT(こちらも無料)があれば、なんの問題もストレスもなく、日本語化し普通に遊べる。

英語が昨今の小学生よりダメな僕が、毎日遊んで、それを実証するのが、この日記の目的だ。

 

◆ダークウッズ秘録 第00回 (2024.03.11)

明日あたりからモロウィンドやBG3に続き、PCOT翻訳の実体験を伝える日記シリーズを、始める予定。

今回は『The Secret of Darkwoods』。

一年前、Steamで無料で公開されて驚愕。オープンワールドRPGを、テキストメインで成立させた、電子ゲームブックである。 本を象ったゲーム画面。左ページにMidjourneyと思われる美麗なイラスト、右ページがテキストという構成。マップを開くとものすごい数の「行き先」が表示され、規模の大きさと志の高さがうかがえる。

本当は5日に発売された『ソーマタージ 』の翻訳記でもと思って準備してたのだが、PCOTとの相性が悪すぎて日本語化を断念。
その後PCの内蔵HDDが壊れ、復旧に時間がかかった。やっと落ち着いたので、次にやるゲームを考えてこれにした。

なにしろPCOT翻訳との相性が最高な上に、美麗な挿絵が大量にあり、絵日誌にするのに好都合なのだ。 *2
そして無料で世に問うているこの作品の心意気を「日本語がない」という理由で埋もれさせてはいけないと考えた。

ゲームブックは一人で遊べるRPGとして生まれ、現在もFT書房のようにそれの普及を活発に行っているところもある。CRPGにも合わないわけがない。

***

・・・というわけで、これは予告編。Twitterだと文字数が少なすぎて、難儀してきたので、今回から倍の文字数が書けるBlueskyに載せることにした。
Twitterは、とにかく運営のやり方に嫌なことが多すぎて、乗り換え場所を探してたのだが、こればっかりはフォロワーもいっしょに引っ越してくれないと、どうにもならない。僕は基本、情報を見てるだけの人間だから。
でも、たまに何かを発信するときぐらいはBlueskyにしてみようかなという気持ちもあって思い切った。

◆ダークウッズ秘録 第01回 (2024.03.12)

始まりの村

暗い森でひとり目を覚ます。
自分の服装を見るに、俺は冒険者らしい。だが、名前さえ思い出せず、武器も防具も帯びていない。思うように身体が動かず、頭がぼんやりしてうまく物事を考えられない。

だが、ここは安全とは程遠い気配が濃厚だ。生きるため、歩き出す。
湿った落ち葉を踏んで、よろよろと彷徨う。
どれくらい時間が過ぎただろう。幸い人里に続くと思われる細い道を見つける。

たどりついた寒村は、ウォーセスターというらしい。
ここで、自分が何者かという情報を得られるだろうか。
寂れていても、酒場のない里はない。記憶をなくしているが、情報は酒場で得るものだと本能が告げている。

 

酒場には、アルコールと煙草、腐った食い物の臭いが充満している。まだ明るいのに、賭けに興じている酔っぱらいたち、冒険者を探す婦人、そして俺のいた森で何かを見たという男がいた。

だが、俺が興味を示すと、男はガチョウを見つけた狐のようにズルそうな顔を歪め、「“禁断のマングローブ沼”でお婆ちゃんがくれたブーツを無くしちまったんだ。大事なブーツを取り返してくれたら、情報をやるよ」と言う。
まあいい。その場所のことは覚えておこう。

どこにいくにしろ、今の俺は身体的にも精神的にも力を失っている。しばらくは生活費と、なくした技術と、情報を得るために、この村を拠点に冒険のためのリハビリを行おう。
とりあえず雑貨屋を訪れ、なけなしの金で、斧と革鎧を購入する。

 

忘れられた子供

酒場に戻り、冒険者を探している婦人の話を聞く。
人狼亭主が、部屋を散らかすのをやめせて。殺さないでね」。
え?狼男が?家に普通に住んでる?
混乱した頭で、家に行く。確かに人狼がいて、部屋を荒らしている。
説得しようとするが、今の自分の能力では耳を貸しそうにない。時期を見て再訪しよう。

このゲームでは、スキルを誰かから習得しないとできないことがある。始めたばかりで、説得スキルがないため今はなにもできない。戦うという選択肢もあるが、殺すなという依頼だし。それにしてもこの絵、脚がどこから生えてるのか判らずちょっと不気味である。このへんが(今のところの)AI画の限界なのかもしれない。

  

通りの人々に声をかけると、こんな小さな村でも、悩みや頼み事をあれこれと聞かされる。
ある男は「自分の子供をしばらくほったらかしておいたら、餓死した上にゾンビになってしまった。家で暴れてるのでさっさと始末してほしい」と言ってきた。
なんだこの腐った毒親は。
依頼をはねつけようかと思ったが、このままでは、ゾンビになった子供は、いつまでたっても墓場で静かに眠ることもできない。

俺の初戦は、悲しき子供ゾンビを屠ることだった。
記憶とともに衰えた戦闘力だが、なんとか生き延びられた。

この村の連中、なにかおかしい。
それとも、これがこの世界の常識で、俺の感覚の方が変なのか?
記憶がないという意識が、俺の判断を迷わせる。

***

通りで出会う人々は、名前、グラフィック、クエストなど、ランダムで決められているようで、おそらくやるたびに変化するようだ。

 

亡霊の願い

 

雨が降らなくて困っていると言われ、村を出て魔女の隠れ家で雨乞いを依頼したり、よその町で指輪の買い物をしてくるなど、様々なクエストを請け負っていく。

通りで見かけた、物乞いの老婆は、不死の呪いのせいで160歳を超え、夫も子供もすでに喪っているらしい。
子供たちについてのうわ言を繰り返す彼女が不憫で、何かの慰めがないか、かつての住居を探りに行く。

 

まるで幽霊屋敷のような廃墟である。そう思っていると本当に亡霊が現れた。
身構えるが、老婆の話をすると、亡霊は50年前に死んだ老婆の夫だという。
老婆が求めるものは、もはや思い出だけだと彼は語り、彼女の子供たちがかつて遊んでいたという、おもちゃの木彫りの馬のありかを教えてくれた。ついでに金貨とアイテムの隠し場所も。
木馬を持って帰り、老婆に渡すと、一瞬幸せそうな表情を浮かべる。
はるか昔の子供の記憶が、彼女をほんの少し幸福にしたのだろう。
先日の毒親はやっぱり変なのだ

さて、俺の記憶はどこを探せば出てくるのだろう。

◆ダークウッズ秘録 第02回 (2024.03.13)

医者はどこだ

長い歴史とともに人々の欲望の澱がたまったような町、アルフォードまで来た。
魅惑と混沌。人混みと喧騒。

村で白髭の老人から甥がクリムゾン熱に感染して倒れていると助けを請われた。これは不治の病というが、この町のハードネックという医師は奇跡を起こせるらしい。
さまざまな誘惑が多そうな町だが、今は急を要する。医師の元に直行する。

ターバンを巻いた気難しい医師は、けんもほろろである。
「バカを言え。この町の患者を放っておけというのか?」
懇願し、30gの金を握らせると、彼はやっと重い腰をあげた。
帰途、怪しい盗賊に襲われたが、なんとか撃退し、逆に小銭と武具を奪う。

村に戻ったころには、医師は奇跡を終えていた。老人の感謝の言葉を胸に、次の仕事にかかる。

 

墓場に巣食うもの

「私の親友、オーガスタス・レモラは数年前、エグトコップの戦いで死にました。彼は家族もお金もない平凡な兵士で、国王の率いるこの不条理な戦争で死んだ何百人もの戦士たちの中に混じって、無情にもダークウィローの墓地に埋葬されました」

ジェラという若い女性が訴える。

そこに怪物が住み着き、もう花を捧げにいくことさえできないと言う。地元当局に訴えても無視されたらしい。

墓標は延々と続いている。寂れた空気が淀んでいる。
俺は延々と続く墓石の名前を読んでいった。

やっと目的の墓を見つけた時、背後に植物と悪鬼が合成されたような怪物が立っていた。
こんな怪物に歯が立つのか。
数刻の死闘の末、奴は墓石の間に沈んだ。
最近、やっと戦いのコツがつかめてきた気がする。
怪物を倒した証拠に、角を切り取って俺は帰途についた。

村に戻りジェラに報告する。証拠の角を嫌そうな目で見つつ、感謝と報酬をくれた。
「ありがとう!君の助けがなかったら、友人の墓は忘れ去られていただろう。明日、花を買ってきて、友人の思い出を称えるために出発するよ。あなたは間違いなく良い人です」

***

ジェラの、最初と最後の台詞は、ほぼそのままゲームログをコピペしたものだ。PCOTとDeepLは、ちゃんとした仕事をする。

今回のまとめタイトル『Alone in the Darkwoods』は、言うまでもなく、最近リメイク版が出て話題になっていた『Alone in the Dark』のもじり。
このゲームのオリジナルをやったとき、最初の部屋で、窓の外に小さく何か犬のようなものがジャンプして横切るのがちらりと見えて、何かな?と思ったら突然窓が割れて「それ」が飛び込んで襲ってくる・・・というシーンがあまりに怖くて、その名演出だけでも、この作品は後世に残るよなあと思った。

後年、『バイオハザード』を、『アローン~』の影響受けてできた作品だと聞いてやり始めたら、いきなり窓の外をなにかがジャンプして・・・という同じ演出をそのまんまゾンビ犬でやってるのを見て、これはオマージュや本歌取りとはいえない、やっちゃいけないタイプのパクリだろうと、志の低さにがっくりした覚えがある。

●『ダークウッズ日誌』PCOT翻訳プレイ|インデックス

The Secret of Darkwoods

●PCOT翻訳基礎知識:その英語ゲームは、今すぐ日本語で遊べる【PCOTへの誘い】
●Morrowind旅日記 ●発売初日から日本語バルダーズゲート3日記 

*1:ゲームブック」のことを知らない人も多いかもしれない。かつてRPGの創世直後に生まれた、「ひとりRPG」として大ブームになったものである。過去のものではなく、現在もFT書房のように、それ専門の出版社も存在し、根強い人気があるのだ。英国の元祖にして代表作『火吹き山の魔法使い』を始めとするFF(ファイナル~ではない。ファイティングファンタジー)シリーズは何度も日本でも復刊してるし、最近もセットで再販されている。ビデオゲームになっているものも多い

*2:僕が推しているSpiderweb社のゲームや昔のバルダーズゲートのようなアイソメトリックビューのゲームは、多くの場合、絵日記として紹介するのには絵面が弱いのだ。僕はRPGに美麗グラフィックをまったく求めない人間だが、絵日記を書くには、それらは向いてないというのは認める。バルダーズゲート3は、アイソメトリックビューなのに、会話やイベントシーンでシネマティックモードになったり、クローズアップが可能なのは絵日記向きだった。