CRPGを楽しむためのメモ

PCOTで海外ゲームを日本語翻訳しながら遊ぶ

その英語ゲームは、今すぐ日本語で遊べる【PCOTへの誘い】

このページは、ブログ全体の概要を紹介しています *1

" Avernum2:Crystal Souls" Spiderweb Software Inc.

STEAMやGOGといった、ネット販売サイトで、PCゲームを購入する時代。セールによる大幅値引きや無料配布など、日本語化されていない英語ゲームを入手する機会が増えています。
渋い、面白そうな、本格的な、日本では見かけないようなーーそんなゲームに心惹かれた方も多いでしょう。しかし、大きな壁があります。「英語ができない」「英語読むのしんどい」。

でも、英語のゲームを、今すぐ、日本語でストレスなく遊ぶ方法があったら?
まるでドラえもんの道具のような空想を、現実にかなえるツールがあります。それが『PCOT』です。

このブログは、あるメーカーのRPGをPCOTで遊ぶ際に便利な、改造フォントデータの、単なる置き場所として誕生しました。
でも、そこに進む前に、そもそも「英語ゲームをすぐに日本語で遊ぶ」というのはどういうことなのか、を以下にQ&Aで説明したいと思います。

【英語ゲームを日本語で遊ぶとは・・・Q&A】

Q:メーカーの日本語版や有志翻訳なしで、すぐに英語ゲームができる?

A:そうです。英語がほぼ無理!な人にも、今日発売されたばかりのゲームでさえ遊べます。
今やPC上で、英語を翻訳しながら、ゲームが出来る時代になりました。いわゆる「機械翻訳」を行いながら、遊べるのです。

Q:機械翻訳!? ハッ、使えねえ~ヽ( ´▽`)ノ

A:「機械翻訳=使えない」というテンプレートな思い込みは、もはや過去のものです。特に2020年あたりから話題になっているドイツの翻訳エンジン『DeepL』は非常にこなれた翻訳文章を生み、暗号のような文章に悩まされません。実は人間が中に入ってるんじゃないかと思うくらいです(ちょっと盛ってます)。

Q:大げさでは?そんなに完璧な翻訳ができるのか?

A:完璧か?と問われれば、あちこちトンチキなところや、誤読するところ、男言葉と女言葉がぐちゃぐちゃなところ、文章をすっとばす箇所なんかもある、とお答えします。

でも、テキストメインの大長編RPGを、ほぼストレスなく遊ぶぐらいの精度は持っています。英語力は、近頃の小学生以下の当方ですが、100時間規模のSpiderweb社のゲームを、5本ほどコンプリートしました。
異世界で冒険するのに、言葉がカタコトなのはむしろリアル!」ぐらいに考えれば、十分楽しめるレベルといえます(もちろんゲームの文章やシステムにもよります)。

Q:具体的に、翻訳しながら遊ぶには何が必要なのか?

A:ゲーム画面のグラフィック文字を読み取り、翻訳エンジンに渡すためのツールがあります。それが翻訳支援ツールPCOTです

ぬるっぽ氏のサイトでダウンロード(http://www.gc-net.jp/s_54/)できます。ゲーム翻訳に特化しているため、他の翻訳ツールにない特殊な機能をたくさん持っています。
会話や状況説明のウインドウがあるADVゲームやRPGなど、テキスト表示位置が固定されているゲームの場合、いちいち翻訳範囲を指定しなくても、ショートカット一発で次々と翻訳できるのが、最高に楽ちんで快適です。

Q:PCOT以外に必要なものは何?

PCOTはデフォルトで、Google翻訳と連携する機能を持っているので、ゲームとPCOTさえあれば(+ネット環境)一応遊べます。でも、以下のものもぜひ準備してください。

●『DeepL』:大変こなれた文章を吐く翻訳エンジン。楽しい翻訳には必須。ゲームにはアプリ版をこちらからダウンロード。
DeepL Translate: The world's most accurate translator

●『Windows10 OCR』:Win10以上ならば標準で使えるOCR。PCOTデフォルトのTesseract OCRより、ぐっと速い。導入の仕方は、以下の動画が参考に。一瞬でできます。
翻訳支援ツール「PCOT」の説明動画。初心者向け総集編 WIN10OCRの入れ方もあるよ。 - YouTube


詳しくはPCOTのサイトやマニュアルを御覧ください。導入手順の解説サイトや動画も多数紹介されています。

実際のゲーム画面(画面左側。『Geneforge1』)を、PCOTで翻訳しているところ。
右半分の上部がPCOTの画面。Google翻訳した文章が少し見える。
その下がDeepLの画面。ふたつの翻訳を見比べることで、お互いを補完することもできるのだ。

予め翻訳領域を、ショートカット設定すれば、あとは、長文を次々と訳していけるのはPCOTならではの機能である。ショートカットをマウスボタンに割り付けるとさらに楽。なにも考えず、ボタンひとつで次々に長文を翻訳できて、快適だ。

Q:お高いんでしょう?

A:上記で紹介したツールや翻訳エンジンは、すべて無料で使えます。
作者のぬるっぽ氏が「導入はなるべくシンプルに」と有料ツールなしでできるようにされています。ですから、試しに始めることに、全然面倒がありません。

Q:でもなぁ。なーんか、面倒くさそう。

A:PCOTが出る前、ゲームの翻訳といえば『Capture2text』という汎用翻訳ツールが定番でした。これを知ったとき「やっと英語ゲームが出来る!」と歓喜しました。
でも、1時間ほどいじって、放り出しました。超面倒くさがりの当方では、根気が続かなかったのです。

  1. 翻訳エンジンがGoogle翻訳でこなれておらず、長文の意味を汲み取るのが難しかった。
  2. 翻訳する箇所を、毎回毎回、範囲指定しなければならず、超絶面倒だし腱鞘炎になりそうで我慢できなかった。

定番のツールですから、これで遊んでいる人もいっぱいいらっしゃるはず。なのに僕は1時間で放り出しました。ゲームに対する情熱が薄い、面倒くさがりのくそ野郎ですね。でも、そんなダメ人間でも、PCOTとDeepLを知って、一気に夢中になり、小説なら何冊にもなる大量のテキストを「読む」ゲームを、嬉々としてやっています。
「ゲーム翻訳」に特化したツールとして、極力面倒くささを省いて、楽しいことだけ享受できるのがPCOTの凄さです。

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以上が、「PCOT」と「同時翻訳しながら遊ぶ英語ゲーム」の簡単な説明です。

以下はこのブログが扱っている内容についてです。とてもニッチで特殊な内容ですが。

【このブログって何?・・・Q&A】

Q:PCOTで英語ゲームを遊べるのはわかった。どんなゲームでもいけるのか?

A:どんなものにも向き不向きがあります。一般論として、向いてないのは・・・

  • ウインドウモードにならない(PCOTでは同モード必須。昨今のゲームならほぼ大丈夫)
  • アクション性が強い(訳してる暇がない!)
  • 次々と文章が出て、前の文章がすぐに画面から消える
  • 表示フォントのくせが強すぎ、OCRが読み取りにくい
  • 背景絵の上に文字が直接表示され、OCRが誤読しやすい
  • 難解過ぎる凝った文章

などがあるようです。ゲームごとに細かい解決策があったりもするのですが、ここでは省略。
さらに、PCOTの得意技が「画面内の決まった領域を指定してショートカット登録すると、以後はそこをキー一発で訳せる」ことなので、会話などの文章表示が、画面のあっちこっちに分散して表示されるゲームは、その得意技を発揮しにくいです(もちろん、それぞれを範囲指定することができるので、翻訳は可能)。

PCOT対応ゲームWiki』というサイトがあります。参照すれば、他にも相性のいい「今日から始められる」ゲームがいろいろ探せます。個々のゲームの対応策も掲載されてます。

Q:では向いているゲームは?

A:固定されたテキスト表示ウインドウがあるアドベンチャーゲームサウンドノヴェル、アクション性が低くテキストメインのクラシカルなRPGなどが、最初に思い浮かぶでしょうし、実際それらとの相性は抜群です。

その中でも、リアルタイム性がなく、文字が端正で、テキスト表示ウインドウがほぼ固定され、平易で素直な文章で、まるでPCOTで遊ぶために作られたかのようなSpiderweb software inc.(以下SW社)のRPGが、僕のお気に入りです。
PCOTに出会った時にまず考えたのは「長年憧れた、SW社のゲームが、遂にできるんだ!」ということでした。

Q:Spiderweb社のゲームについて詳しく

A:海外RPGに興味のある人なら、知らない人がいないんじゃないか?というぐらいの、老舗のインディーRPGメーカーです。コンスタントに、奥深い大作RPGを発表しています。公式サイトなどをご覧になると、どういうゲームを作っているか、一目でわかります。

90年代からグラフィックやシステムはほぼ変わらず。そんなクラシックなゲームを見てどう考えるかは、人によって極端に分かれるような気がします。

「古い!使いまわしのしょぼグラフィック、しょぼい戦闘システム、BGMもほぼなし、何百人のスタッフが作る、何億もかけた超大作ゲームが出ているのに、こんな手抜きなもの平気で出して金とるなんて信じられない。興味ももてない。★はひとつでも多い!」と考える人(実際そんなレビューがあがってます)。

一方「RPGのグラフィックや音楽なんて、しょせんお飾りである。元来RPGの始祖たるテーブルトークRPGは会話と想像力だけで楽しむものだし、未だに廃れてなどいない。むしろこんなシンプルグラフィックで勝負するのは、シナリオやストーリーテリングという、RPGの本質を表現することに自信があるからで、それが評価され支持されているに違いない。めちゃくちゃ面白そう。」と直感するタイプの人間もいます。

Q:日本語化されてないの?

A:古臭い、キャラクター性が皆無、膨大なテキストを読ませるタイプのインディRPGが、今の日本のゲーム市場でローカライズされるとは、考えにくいですよね。
なにより、SW社のゲームはシステム上、日本語化がしにくいそうです。ゲームで使用されているフォントが、一枚のPNGファイルにまとめられているのですが、この仕様がローカライズを不可能にしているとのこと(僕にはよくわかりませんが(^^;))。

Q:SW社のゲームは同時翻訳でしか楽しめないというのはわかった。問題点は?

A:PCOTと相性のいいSW社のゲームですが、以前の作品には、誤読されやすい部分がありました。文字自体は端正なのですが、文章の行間が狭すぎて、前後の行の文字が重なり、変な文字と認識されたり、おかしなところで行替えが行われてしまったりするのです。*2

そこで、このゲームの特徴である「フォントがPNG画像一枚におさまっている」のを利用して、直接文字画像をいじって、行間問題を解決する「改造フォント」を作ることにしたのです。

Q:ああ、つまりそれがこのブログのメインコンテンツ『誤読防止フォント』なわけね。

A:はい。そーです。もちろん、もともと自分で遊ぶために作ったのですが、せっかくなので公開しておこうと、その置き場としてこのブログを作りました。最初は1ページだけでいいと思ってたのですが、なんだかんだでページが増えました。
SW社ゲームをされる方は、このフォントに交換してもらうだけで、PCOTとSW社のゲームのマリアージュが、さらに幸福なものになると思います。
内容の深さと面白さをテキストで追求しつくした、SW社のゲームを、ぜひ一度遊んでみてください。

OCR誤読防止改造フォントへのリンク】2022年8月現在

 ●【PCOT】Spiderweb社のRPGを、日本語で快適に遊ぶためのフォント
 ●【PCOT】OCRが誤読しない背景壁紙『Avernum』『Avadon』
 ●【PCOT】『Queen's Wish』の誤読防止フォント
 ●【PCOT】『Geneforge』の誤読防止フォント

 ●【PCOT】『Avernum』の”より良い”誤読防止フォント
 ●【PCOT】『Avadon』の”より良い”誤読防止フォント
 ●【PCOT】『Geneforge5』(旧版)の誤読防止フォント
 ●【PCOT】『Queen’s Wish 2』の誤読防止フォント

 

w.atwiki.jp

=脚注=

*1: このページは、前回急遽書いた「無料『Geneforge1』は、今すぐ日本語で遊べる」を、より一般的に書き直したものに、このブログのメインの内容解説を足したもの。前回は『Geneforge1』のEpicでの無料配布に伴い、「日本語化」で検索した人が、突然新規来訪者として普段の30倍ぐらい来られたので、あわててPCOTで日本語化しながら遊べる説明を書いたのだった。これからも、検索による突然の新規来訪者がいらっしゃる可能性を考え、より汎用的な内容にした。すごくニッチな内容のブログなので、その前提となる「PCOT」や「同時翻訳しながら遊ぶ英語ゲーム」について、まずアウトラインを述べている。

*2:『行間狭すぎ問題』とは:Spiderweb Softwareのゲームは、最近作を除き、「行間狭すぎ問題」が発生することがある。フォント自体はトラディショナルで、OCR読み取りに問題がないのだが、行間が狭すぎるため、何行にも渡る長い英文の場合、前後の行の文字が、つながって重なり縦長の一文字に誤読されることがあるのだ。具体的には小文字のg,j,p,q,yなどの標準よりかなり下にはみ出している文字と、上に背の高い文字(小文字のb,d,f,h,i,j,k,lや大文字全般、記号!,?など)の一部が重なることが多い。それを何らかの大きな一文字と誤読し、おかしなところで行替えが行われて、単語の順がメチャクチャに読み取られてしまう。結果、意味不明な文字化け翻訳文章ができあがる。これが起きないように、フォントファイル(PNG画像)をいじって、行間が狭くても、重なりが起きないように改造するのが「誤読防止改造フォント」の骨子である。