CRPGを楽しむためのメモ

PCOTで海外ゲームを日本語翻訳しながら遊ぶ

【PCOT】『Avernum』の”より良い”誤読防止フォント

【このブログの概要】「その英語ゲームは、今すぐ日本語で遊べる」

" Avernum2:Crystal Souls" Spiderweb Software Inc.

これまで『Spiderweb software inc.(以下SW社)』のRPGを、日本語翻訳支援ソフト『PCOTで日本語翻訳しながら遊ぶ際、誤読を防ぐための改造フォントを掲載してきたのだが、先日の記事Geneforge 1 - Mutagen』で、フォント改造は一旦終了した。

ーーはずだったのだが、その前の記事であるQueen's Wish: The Conqueror(以下QW)』で、なるべくオリジンのフォントを尊重する形で改造してからは、最初に掲載したAvernumシリーズ』『Avadonシリーズ』の荒っぽい、見た目汚い改造が、気になって仕方がない。 行間をあけるという目的 *1 のために、一番効率的(面倒くさくない)やり方をして、それなりに効果のあるものになったと思うのだが、とにかく、オリジンの英文が見た目に判るぐらいデコボコして見苦しくなってしまう。どうせ英文なんて読まないんだから関係ない--と思っていたんだけど、原典のデザインに対する敬意をもっと払うべきでは?と思い始めた。別に、怠惰を指摘されて炎上するほど、人が来るブログでもないんだけどね。

『QW』での改造が、思ったほど手間がかからなかったのもあり、『Avernum』や『Avadon』も、もう少しちゃんと考えてやれば、そういう「いじらなくても済む」文字がいっぱいあるんじゃないか?と思った。

実際そうであった。全フォントを縦に圧縮する必要などなかった。今回改めて改造したフォントで、『Avernum2』を既に20時間ほどやってみたが、少なくとも「行間問題」で引っかかる箇所はなかった。少ない改造で、大きな効果が得られたのだ。

そんなわけで、「”より良い”Avernumシリーズ用改造フォント」を公開する。*2

もうひとつの『Avadon』シリーズに関しては、「そのままではまともに読めない特殊フォント問題」があるので、今回はパス。特殊フォントを「もう少し丁寧に改造」した上で、いずれ掲載したい。

yupi1go.hatenablog.com


ー目次ー


〈Avernumの”より良い”改造フォント画像〉

【概要】

Spiderweb software inc.(以下SW社)のRPGは、日本語翻訳支援ソフトPCOTと非常に相性が良く、ストレスなく遊べるが、文章の行間が狭いため *3 、前後の行の文字と文字が重なって、OCRが誤読し、意味不明の翻訳をする可能性がある。しかしSW社ゲームのフォントは単なるPNGのため、画像編集ソフトで簡単にいじることができる。文字改造で行間をあけ、誤読をなくし、より快適に遊ぶためのフォントを、以前掲載した。だが、原典の文字の雰囲気を著しく壊していたので、改めて一から改造しなおした。

【Avernumシリーズ用改造フォント画像】

この画像ファイルが使えるゲーム(win版 Steam/GOG

〈Avernum用改造フォント画像〉

  1. 上の画像を右クリックし、ダウンロードして、G290.pngにリネーム
  2. ゲームがあるフォルダの中の「Avernum※ Graphics Core (『2』『3』では※にその数字が入る。『6』は単にGraphics Coreという名)」内にあるオリジナルのG290.pngをバックアップした上、先程ダウンした画像をそこにコピー。 (『Avernum : Escape From The Pit』ならAvernum - Escape From The Pit→Avernum Files→Avernum Graphics Core) *4
  3. ゲームを起動してフォントが表示できることを確認。

〈どうフォントを変更したか〉

ここからは、読まなくても特に困らないので、興味のある人だけどうぞ。もっといい環境、良い改造をするための参考に。

【方針】

旧タイプでは、とにかく全部のフォントを上下に85%に圧縮することで、行間を開ける・・・というのが、改造の骨子だったが、あまりに荒っぽすぎるのでそれをやめる。また、”脚の長い小文字”を上にずらしていたが、これも見た目を悪くするのでやめた。 行間問題を引き起こす可能性の高い文字を探していじり、最低限の改造で最適化する(つもりでやる)。

  1. 通常フォント(画像6行目まで)だけいじる。特殊フォントにはそもそも行間問題が発生しない。
  2. ”脚の長い小文字”(標準線よりも下に出ているgやyなど)の脚をぐっと縮める(大文字のJとQも)。
  3. ”背の高い小文字”(f、h、k、lなど)の頭をちょっと(1ドット分)縮める。
  4. 大きい通常フォントの大文字は、全部”背が高い”ので、全体的に頭をちょっと(1ドット分)縮める。
  5. 記号についても、手をいれる。

これらの方針について、以下に細かく述べる。

[1.通常フォントと特殊フォント]

SW社のゲームのフォントは大きくわけて二種ある。通常フォントと特殊フォントである。

通常フォントと特殊フォント。右端の赤い部分はダミーと思われるため触っていない。

ゲーム内で表示されるテキストのほとんどで使われるのが、画像の6行目までの「通常フォント」。大小二種のサイズが存在するが、ゲーム中メインに使われるのは大のほうで、小さいほうもシステムメッセージやジャーナル、インストラクションなどで頻出する(最近のゲームでは小さい文字はほぼ使われない)。近年のSW社のRPGは、全部がこの通常フォントをほぼそのまま使っている。

文字デザイン自体は、非常にトラディショナルかつ端正で、本来、読み取りにまったく問題はない。ただ、ゲームのシステム上、文章の行間が狭すぎて、行前後の文字がつながって表示されてしまい(『Avernum』『Avadon』では特にその傾向が強い)、OCR誤読を招くため、文字自体を改造して対応する

フォント画像下半分の「特殊フォント」。これはSW社のゲームのシリーズごとに異なるフォントが使用されている。 装飾を加えられた雰囲気のある文字で(そのぶんクセが強い)、大中小サイズあるが、使われているのは中サイズ。小や大はゲーム中見た覚えがないぐらいで(僕の言う事なのであまりあてにならないが)、もし使われていたとしてもごくごく稀だろう。特殊フォントは、ゲーム内では、ジャーナルのタイトル部分など短いセンテンスで使われるだけで、実はOCRで読めなくてもほとんど実害がない。

ただ、プロローグとエピローグの文書には、この特殊フォントが長文で使われているのが問題となる。しかし『Avernum』シリーズの特殊フォントは、あまりクセがなく、普通に読めてしまう。しかも行間が十分あって、誤読がほぼない。 *5

故に、この『Avernum』シリーズでは、特殊フォントはいじらない。

[2.脚の長い文字の改造]

今回の改造の骨子である。

『Qeen's Wish』のフォント改造は、

小文字・・・「g」「j」「p」「q」「y」

大文字・・・「J」「Q」

の、他の文字より下にはみ出した部分を1ドット分だけ短くすることだけで、文字の重なりを回避できた。

今回も『QW』の通常フォントをコピペして試してみたのだが、やはり初期SW社ゲームであるAvernumでは、想像以上に行間が狭く、重なりは解消されなかった。そこで、さらに1ドット分、途中のドットを抜いてずらした(脚を短くしたというより、胴体部分をぬいて、腰を上にあげたものが多い)。「g」「Q」は複雑なので、画像を上に向けて縮小し、あとで少し手を加えた。 フォントの大サイズ、小サイズとも同じ方針で改造した。

[3.背の高い小文字の改造]

脚の長い文字を2ドット分縮めても、背の高い文字にはときどきぶつかってしまう(どんだけ、行間せまいねん!)。そこで、背が高い小文字から1ドット抜いて、背を低くする。これも、頭を削るというより、胴体や首の間を切りぬいて、その分縮めた感じ。『占星術殺人事件』みたい。

「b」「d」「f」「h」「i」「j」「k」「l」

背が高い文字は結構多い。「i」が高いのは意外だったが、点と棒の間を縮めただけで対応できた。「j」もそうしたが、脚も短くされ背も低くされ散々である。大文字までそうされてるし。 フォントの大サイズ、小サイズとも同じ方針で改造した。

改造のビフォー・アフター。脚の長いgやj、pがかなり変わっているのが確認できるだろう。b、d、f、i、j、k,lなどの背が高い文字もほんのすこし頭が縮んでいる。

[4.大文字の改造]

大文字は全部、背が高い。そりゃ「大文字」っていうぐらいだから、まあ仕方ない。 とはいっても、文章の中で大文字出現率はそんなに高くないし、大丈夫じゃない?と思ってテストしてみた。

小サイズフォントでは、まったく問題が出なかったので大文字自体に手を加えなかった。 だが、大サイズフォントでは、たまーに、重なりがおきる。どうも小サイズと大サイズでは、もともと行間の割合が違うようにも見える(?)。だったら小サイズフォントの小文字の頭も縮めなくても良かったかもしれない・・・。まあいいや。 *6

そこで、大サイズフォントの大文字をどうするか。重なったからと言って常に誤読するわけじゃないので、気にしないという手もあるが、ここはいつもの荒っぽいやり方で、大文字全体を上からぎゅっと縮小。1ドット分背を低くし、90数%ぐらいにした。ぎりぎり気が付かないぐらいの変形じゃないかな?そうでもない?

[5.記号などの改造]

今まで意外と見逃しがちだったのがこれ。たとえば「?」や「!」は背が高いし、「(」「)」は上にも下にも長い。これらは、中抜きをする。全部ではないが、頻出する記号(「"」など)もちょこちょこ微調整している。

さらに今まで見逃していた事実が。 どうも、小サイズフォントを使った文章で、ピリオド「.」がカンマ「,」と読まれることが非常に多いのだ。人の目にはピリオドにしか見えないんだけど、なぜかカンマと読んでくる。

これまであまり気にしてなかったが、文章の区切りが変になって、訳文のニュアンスや改行もおかしくなってる気がする。これは行間問題とは関係がないが、ついでなので直しておきたい。文字色の濃さや位置を微妙にいじって直そうとしたが、うまくいかないので、思い切って大サイズフォントのピリオドをそのまま移植した。ちょっとピリオドが目立ちすぎるきらいがあるが、読み違いは激減したので、ここは目をつぶっていただきたい。 大サイズフォントの方も、たまに「.→,」と読み違えることがあるようだが、意味不明になることは滅多にないので目をつぶる。

特にゲーム中の殆どの文字が小サイズフォントで表示される『Avernum6』では、今回の画像ファイルにすることをお勧めする

【まとめ】

なんか、ネチネチと書いてしまったが、今回は「いかに原形を残したまま、改造するか」がテーマなので、実質的には、大していじっていない。よほどフォントに精通してなければ、いじったことに気が付かないと思う(思いたい)。先にも書いたように、このフォントで既にAvernum2を20時間以上やっているが、行間問題による誤読らしきものには遭遇していない。

機械翻訳自体がまだ発展途上だから、常に完璧な訳文とはいかないが、少なくとも、もともとが端正な英文で構成された、SW社のゲームを遊ぶのに、ストレスを感じることは、ほぼなくなったと言えるだろう。

w.atwiki.jp


脚注

*1:『行間狭すぎ問題』とは:Spiderweb Softwareのゲームは、最近作を除き、「行間狭すぎ問題」が発生することがある。フォント自体はトラディショナルで、OCR読み取りに問題がないのだが、行間が狭すぎるため、何行にも渡る長い英文の場合、前後の行の文字がつながって重なり、誤読されることがまれにあるのだ。具体的には小文字のg,j,p,q,yなどの標準よりかなり下にはみ出している文字と、上に背の高い文字(小文字のb,d,f,h,i,j,k,lや大文字全般、記号!,?など)の一部が重なることがある。それを何らかの大きな一文字と誤読し、おかしなところで行替えが行われて、単語の順がメチャクチャに読み取られてしまう。結果、意味不明な文字化け翻訳文章が現出することがあるのだ。これが起きないように、フォントファイル(PNG画像)をいじって、行間が狭くても、重なりが起きないように改造するのが「誤読防止改造フォント」の骨子である。

*2:”より良い”のは、英文の見た目であり、OCRの読み取りに関しては、前回までのものより良いかどうかはわからない。むしろ、とにかく誤読させない方針で、なりふり構わず徹底してやった前回までのもののほうが、ことOCR読み取りでは安定しているという可能性はある。とはいえ、見た目以外の細かい調整もしたので、今回のほうがやっぱりいいと思うなー。

*3:『行間狭すぎ問題』とは:Spiderweb Softwareのゲームは、最近作を除き、「行間狭すぎ問題」が発生することがある。フォント自体はトラディショナルで、OCR読み取りに問題がないのだが、行間が狭すぎるため、何行にも渡る長い英文の場合、前後の行の文字がつながって重なり、誤読されることがまれにあるのだ。具体的には小文字のg,j,p,q,yなどの標準よりかなり下にはみ出している文字と、上に背の高い文字(小文字のb,d,f,h,i,j,k,lや大文字全般、記号!,?など)の一部が重なることがある。それを何らかの大きな一文字と誤読し、おかしなところで行替えが行われて、単語の順がメチャクチャに読み取られてしまう。結果、意味不明な文字化け翻訳文章が現出することがあるのだ。これが起きないように、フォントファイル(PNG画像)をいじって、行間が狭くても、重なりが起きないように改造するのが「誤読防止改造フォント」の骨子である。

*4:steamやGOGのゲームフォルダ自体が結構階層の深いところにある。うちのsteamの場合はI:\Program Files (x86)\Steam\steamapps\commonに各ゲームフォルダあり。GOGだとI:\Program Files (x86)\GOG Galaxy\Games

*5:AvernumとAvadonはほぼ共通した特徴を持っているが、この特殊フォント問題だけが決定的に違う。Avadonは特殊フォントにクセがありすぎて、そのままではまともにOCRが読み取ってくれない。特殊フォントは、ゲーム中の重要なところには出てこないので、気にしないというのもありなのだが、エンディングの文章が日本語で楽しめないのだけは、ちょっと困るかもしれない。というわけで、Avadonでは、特殊フォントいじりが必要となるのだ。

*6:最適化とか言いながら結局これだ!でも、大文字と小文字では、出現する頻度が段違いなので、念のためにやっておいたほうがいいかもしれん。しらんけど。