CRPGを楽しむためのメモ

PCOTで海外ゲームを日本語翻訳しながら遊ぶ

『Queen's Wish 2: The Tormentor』体験版デモを遊ぶ

"Queen's Wish 2: The Tormentor" Spiderweb software Inc.

【日本語同時翻訳でゲームを遊ぶ際の誤読防止関連リンク】

 ●【PCOT】Spiderweb社のRPGを、日本語で快適に遊ぶためのフォント
 ●【PCOT】OCRが誤読しない背景壁紙『Avernum』『Avadon』
 ●【PCOT】『Queen's Wish』の誤読防止フォント
 ●【PCOT】『Geneforge』の誤読防止フォント
 ●【PCOT】『Avernum』の”より良い”誤読防止フォント
 ●【PCOT】『Avadon』の”より良い”誤読防止フォント
 ●【PCOT】『Geneforge5』(旧版)の誤読防止フォント

-----------

昨日(2022年6月14日)、Spiderweb software inc.(以下SW社)の新作『Queen's Wish 2: The Tormentor』(以下QW2)のデモ(体験版)がSteamにアップされていたので、早速遊んでみた。
このブログは完全に、日本語翻訳支援ツールPCOTとSW社ゲームに(今のとこ)特化してるから、もちろん「PCOTで支障なく翻訳しながら遊べるのか?」が興味の中心である。

結論からいえば、(想像どおり)全然問題なく遊べる。一作目の『Queen's Wish』は既に行間が広くなり、「行間狭すぎ問題」  *1 が、ほとんど起きない優等生だったから、当然といえば当然か。
続編で急にぐれて、盗んだバイクで走り出したりはしないよね。

----

目次

 

【NEXTフェス】

Steamのイベントとして、各メーカーの近日発売のゲームを紹介するイベント『NEXTフェス』に体験版デモが出品されたようだ。
各社の近日発売ゲームのデモが何百(何千?)と出品されているらしい。

SteamのQW2ページに、デモがある。リリースを読むと、デモがダウンロードできるのは、イベント期間内だけのような気がするので(曖昧)、もしかすると、既に終わってるかもしれない。

SteamのQW2ページ。NEXTフェスのバナーが出ている。

僕は基本GOGでゲームを買うのだが、未だGOGにはページがない。
Steamで集中してキャンペーンを行う戦略なのだろう。デモもSteam用に作られたようだ。

実質的にSW社のゲームを一人でクリエイトしているJeff Vogel氏のツイートやコラムを読むと(もちろん英語読めないのでDeepLのお世話に)インディーゲームメーカーは、宣伝戦略がいろいろ大変なようで、発売前はSteamに集中するのが、効率的なのかなぁと妄想している。

 

【体験版を起動】

サクッとダウンロードして、早速起動。とにかく軽いのがSW社ゲームのいいところ。

よくも悪くも安定のSW社印。『QW1』をいじったことがあれば、なんの問題もなく、ゲームに入っていけるだろうし、いじったことがなくても、いきなり始めても困らないように作られているのがSW社のゲームの特徴だ。

ただ、QW2では、QW1を終えていると何らかのコードで、設定の引き継ぎができるようだ(僕は終えてないのでもってなーい)。王家の一族の不肖の息子となって、属国の戦乱を平定しに行く話なので、前作の状況をそれなりに受け継げるようになっているのだろう。
しかし、初見でも困らないよう、チュートリアルは非常に丁寧に作られている。

QW2の起動画面。「Instructions」がいわゆるマニュアル。以前と違い、最近のゲームでは、ゲーム内からは見られず、この起動画面からしか行けないようなのでご注意(隠しコマンドとかはあるかもしれない)。

【体験版インプレッション】

先にも書いたように、PCOT+DeepLで問題なく日本語翻訳しながら遊べるかどうかが、チェックポイントである。

デフォルト状態で2時間弱、フォントを「QW1用誤読防止フォント」に入れ替えて2時間弱、続けて遊んでみたが、行間問題はほぼ起こらず、また「誤読防止フォント」もそのまま使え、快適に翻訳しながら遊べた

合計で4時間近く進めたが、体験版は終わらない。まだ旅立ち部分とはいえ、かなりのボリュームだ。デモ版であることを忘れてしまう。

プロローグの文章に「特殊フォント」が使われるのはいつもどおり。 最近の作品のプロローグは、短文がスクロールしては消える方式なので、ちょっと忙しいが、問題なく訳してくれる。

SW社のゲームは、文章量が膨大だが、文体は、素直で簡潔。難解な言い回しなどがあまりないので、機械翻訳にかけても、とても意味が通りやすい。
これは遊ぶ人(英語圏の人も含む)を意識して、あえてそうしているのだろう。クリエイターのJeff Vogel氏のプライベートな文章では、もっと複雑で、比喩や皮肉のきいた言い回しがふんだんに出てくる。
だからこそ、英語に不自由な僕(たち)が、安心してPCOTで翻訳しながら遊べるゲーム群になっているのだ。

ゲーム本編。ミランダさんは前作でも、やるべきことを教えてくれたナビゲーター。
基本はこなれたDeepLの翻訳をメインに見ているが、最初の文章などは、むしろGoogle翻訳のほうが日本語として正確に見える。随時補完すればより快適に遊べる。

今回も、テキストが表示されるウインドウのバックは、あまり模様が目立つこともなく、取り替える必要はない。

『QW1』の改造フォント記事のときにも書いたが、QWシリーズは、トラディショナルなRPGと4X系ストラテジーのハイブリッドの香りが強い。体験版でも、最初の拠点で新たな施設を、早々に二つ作ることになる。冒険の途中、ダンジョンで得られる素材の多くは、拠点発展の材料となる。各地の騒乱を外交交渉で治め、あるいは暴力で平定し、人民の支持を得ながら、王国を維持する王子として、華麗というより、命がけの肉体労働に向かうことになる。
とはいえ、RPG的な物語性もたっぷりだ。体験版でも、主人公に問題が雨あられと降り注ぎ、何から手を付けようか迷うほどだ。

システムやグラフィックが、他のSW社のゲームと少々異なっているため、独特の雰囲気を持った作品だ。

ウィッシュリストにチェックを入れよう】

いろいろな記事を読んでいると、どうやら発売前にウィッシュリストにチェックが入るかどうかは、特にインディーソフトウェアメーカーにとって、滅茶苦茶、大事な要素らしい。
それによって、販売戦略がかわり、メディアの取り上げ方がかわり、発売時に効果的なお知らせを送れるようになり・・・ということらしい。
僕はGOG派だが、Steamのウィッシュリストにチェックを入れた。
興味を持ったら、迷わずウィッシュリストに入れるのも、応援になるようなのだ。
いいインディーメーカーには、日本市場にも、興味を持ってもらいたいもんね。

store.steampowered.com

 

【最後に】

インストラクションの最後を見ると、どうも作者のJeff氏は、年齢的にQWシリーズが最後の完全オリジナル作品になると考えているらしい。*2

ほんとはもっと作ってほしいんだけどなぁ。
だからこそ余計に、QWシリーズは大成功して欲しいのだ。

QW2発売まで、あと3ヶ月ぐらい。
今から仕様が大きく変わるとは思えないから、おそらく、改造フォントは『QW1』のものがそのまま使えるとは思うが、何がおきるかわからない(笑)。
発売の暁には、また検証してみたいと思う。

w.atwiki.jp

 

----

脚注

*1:『行間狭すぎ問題』とは:Spiderweb Softwareのゲームは、最近作を除き、「行間狭すぎ問題」が発生することがある。フォント自体はトラディショナルで、OCR読み取りに問題がないのだが、行間が狭すぎるため、何行にも渡る長い英文の場合、前後の行の文字がつながって重なり、誤読されることがまれにあるのだ。具体的には小文字のg,j,p,q,yなどの標準よりかなり下にはみ出している文字と、上に背の高い文字(小文字のb,d,f,h,i,j,k,lや大文字全般、記号!,?など)の一部が重なることがある。それを何らかの大きな一文字と誤読し、おかしなところで行替えが行われて、単語の順がメチャクチャに読み取られてしまう。結果、意味不明な文字化け翻訳文章が現出することがあるのだ。これが起きないように、フォントファイル(PNG画像)をいじって、行間が狭くても、重なりが起きないように改造するのが「誤読防止改造フォント」の骨子である。

*2:もちろんリメイクはGeneforgeなど残っているのだろうけど。