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PCOTで海外ゲームを日本語翻訳しながら遊ぶ

PCOT翻訳で遊ぶ【ダークウッズ日誌】まとめ6〈11日~12日〉始まりの終わり+後記

●『ダークウッズ日誌』PCOT翻訳プレイ|インデックス

●PCOT翻訳基礎知識:その英語ゲームは、今すぐ日本語で遊べる【PCOTへの誘い】
●Morrowind旅日記 ●発売初日から日本語バルダーズゲート3日記  ●ゆぴ1号(Bluesky | Twitter

 

The Secret of Darkwoods 前回までは・・・

ついに暗殺教団の拠点の町へ。あとは本丸へ乗り込むだけだ。

◆ダークウッズ秘録 第11回 (2024.03.22)


下水道の冒険

カルトの潜むこの街の空気にも馴れ、準備も整えた。そろそろ奴らの本拠地に乗り込む時だ。そこへの入口は下水道の中にある。

下水道には汚水、ネズミ、害虫などが集まるが、怪しげな犯罪者や怪物も溜まり、薬物や盗品売買などの違法行為も半ば公然と行われる。
ここは、華やかな都市の下に存在する、もう一つの街なのだ。

暗がりに潜む大きな荷物を背負った落ち着きのない男に声をかける。このあたりのことを何でも教えられるという男は、下水道を通る紫のローブの奇妙な連中のことを口走る。俺が興味を持ったことに気がつくと、秘密の入口への仕掛けについて知っているがタダではないと、ニヤリとする。
この隠者は、金を欲するのではなく、書物を欲しがる。長く読んでないらしい。手持ちの本があったことを思い出して渡すと、感謝して詳しい情報をくれた。

ネズミが駆け回る音が響く、長い下水道を進む。

通路を塞ぐ、有機物と金属の混じり合った錆だらけのおぞましい怪物を屠り、さらに先へ。

やがて、下水道の最深部についた。岩が崩れ、滝のようになっている。ここを登り、右手のスイッチをいじると、秘密の入口が開くのだと、隠者が言っていた。


カルトの隠れ家

仕掛けを動かすと、壁がゆっくりと開く。その先に、高い天井の古代の寺院が見える。
これが、カルトのアジトなのか。
こんなものが地下に存在することなど誰も想像すまい。
部屋の奥にある階段を登り、細い廊下を歩く。

「ここでなにをしているのだ」

突然の声に立ち止まると太陽のマークの刺繍の施された紫のローブの神官がいる。
これが“罪なき光教団”の司祭であることは間違いない。

「いずれ、我々を見つけるとは思っていたが、こんなに早くとはな」
「おまえは誰だ。俺に何をした?」
「我々はあなたの敵ではない。どうぞ、こちらへ。マスターがあなたと話したいと言っている」

男は、さらに奥の紫の照明に揺れる部屋に俺を誘った。


盗まれた過去

そこには、三人の司祭がいた。
瞑想中だった高位の司祭が、顔をあげ俺を見つめる。
彼の顔は、紫色の光が落とす影に隠れて見えない。部屋の静寂が逆に耳を突き刺す。マスターと動かない手下たちから強力な魔力が発せられているのを感じる。

「俺に何の用だ」

「我々の秘密教団は国王に仕えている。我々は王の忠実な下僕であり、先祖代々の伝統に厳格に従い、盲目的に、情熱的に王の命令を遂行する。私たちは王のために殺すのだ」

「端的に言えば、権力の飼い犬としての殺し屋か。王の『汚れた手』だな」

「君は我々の仲間だった。しかし、今はつまらぬ者に成り下がった」

「俺もカルトの一員だというのか」

「少し前、あなたは我々を裏切り、王を裏切った。あなたが王の命令に従わないから、私たちは王の命令を遂行するしかなくなった」

マスターは冷淡な口調で話す。

「秘密教団の一員として、裏切り者への対応には厳格な規則と手順がある。肉体と精神の分離という特別な儀式を行ったが、なぜか失敗した。あなたは抹殺される代わりに、ダークウッズにテレポートされた。すぐに捜索に向かったが発見できなかった」

「・・・」

「あなたを排除できなかったことが、国王によく思われないことを知っていたので、失敗を隠し、あなたが死んだと国王に思わせるという苦渋の決断を下した。我々は、あなたがここを見つけたことに驚いていない。〝罪なき光の教団〟のメンバーは並外れた能力を持っている」

「なぜすぐに殺さない?昔の仲間のよしみだとでも?」

「あなたがまだ生きているのは、神々がそうするべきと判断したからだ。もう、私たちはあなたを殺すつもりはない。あなたに対して何かしようとも思わない」

「・・・」

「しかし、この隠れ家を知られ、我々の立場は危うくなった。離れるしかない」

マスターが催眠術のようなジェスチャーをすると、足元の大地が揺れ始め、ゴロゴロと鳴り始める。司祭たちは渦巻く砂塵の中に消えていく。
追おうとするが、めまいが襲い、気が遠くなっていく。

***

Blueskyの連載ではかなり端折ったが、重要局面なので、もとのテキストをだいぶ戻している。裏切り者が組織に追われる展開(カムイ外伝のような抜け忍もの。あるいは石ノ森ヒーロー)は大好物なのだが、組織が積極的に殺しにこないというのは、珍しいのではなかろうか。

 

手紙

目を開ける。生きている。
だが地下神殿から、カルトの気配は見事に消えうせた。もう誰も俺の言う事を信じてくれないだろう。

しばらくうろつき、自然の洞窟に続く道を見つけ、出口にたどり着く。


頭痛に悩まされつつ、自分に起きたことを考えながら街を彷徨っていると、見知らぬ男が駆け寄ってくる。

「あんたに手紙を渡してほしいって」

と封筒を手渡す。
手紙には二本の剣が交差した印が押されている。

◆ダークウッズ秘録 第12回 (2024.03.23)

マールグレン

手紙の呼び出しに応じ、ノコノコと初めての町まで来た。
マールグレンは、うっそうとした森の端にある、小さくて控えめな場所だ。

もっと気をつけるべきなのかもしれないが、自身の最大の秘密を知って、もう何にあっても怖いものなどない気がしていた。

ケシュカ・ドラゴンハイヴ

受け取った手紙に書かれた家のドアをノックする。下男がドアを開け、廊下を通って武器、本、絨毯、アンティークの絵画で豪華に飾られた居間に案内してくれる。

部屋の中央に、ベルトに剣を差した貴族風の女性が立っている。

「いらっしゃい。ついにお会いできましたね。私はあなたの活躍を見守ってきましたが、素晴らしいと言わざるを得ません」

「私はケシュカ。”自由の刃”という名のレジスタンスグループの一員です。私たちは、 ”罪なき光教団”の邪悪なメンバーと同じく、秘密の命令を受けています。
でも、戦う目的は同じではない。カルトの魔道士たちは王の手先であり、彼の言いなりになっている。
あなたは彼らに訓練された。私のスパイによれば、記憶を失っているにもかかわらず、まだ多くの才能を持っておいでだ」

 

自由の刃

ケシュカは続ける。
「王を打倒するためにあなたの助けが必要だと判断しました」

「暗殺教団と戦うつもりか?」

「王と戦うのです。悪逆非道な魔道士と。
独裁権力保持のために何千もの民への拷問と虐殺を繰り返し、法律を捻じ曲げ、政治を腐らせ、盗賊をはびこらせ、貧困にあえぐ国にした元凶と。そのことは、あなたも旅の途中でいろいろ見てきたはずです」

「あんたを信じろと?それに第一、俺はカルト側にいた人間だ」

「でも、裏切った。人々は、今やあなたの英雄的行為について語り、広め始めています。もちろん私を信じる義務があるわけではない。私達の分析を分かち合っているだけです。この国の貧困率は近隣諸国と比べ不釣り合いなほど酷い。人々は飢えで死に、いくつかの村では共食いの事例まである」

「・・・」

「王と殺人教団により、反乱分子は弾圧され、沈黙させられる。だから、それらを糾合する英雄が必要なのです。民衆を団結させ革命軍を組織せねばなりません。
自由の刃を代表して お願いします。国内の商業ギルド、農民、貧困層、貴族など、五つの派閥のリーダーを説得し、国王打倒に参加させてほしいのです」

ケチな冒険者が、反乱軍をまとめる?
とんだ展開である。
だが、過去を盗まれた俺に、ちょうど指し示された道を歩かぬ理由もない。
俺は彼女に頷いていた。

(了)

***

というわけで、第一部完という感じで終幕である。ケシュカの演説はものすごく長いが、さすがにかなり端折った。

もちろんお話自体もまだまだ続く。むしろここからが本番で「終わりの始まり」だろう。だがこれは別に攻略記事ではないので、これくらいで十分に「英語ゲームを毎日スラスラ遊べる」実証にはなっただろう。ネタバレしすぎも問題なので、潮時だと思う。
この先は、各派閥のリーダーを説得にまわるのだが、やはりちょっとむずかし目のクエストなど押し付けられることになる(笑)

  

上の画像は、商業ギルドの強欲オヤジに言われて、ロボット兵士やらルーン文字で動くコンピュータやらのあるダンジョンに行ったところ。いつの間にか毒を注入され、デバフかかりまくって、大苦戦した。

◆後記

●大事なTIPS。このゲームはオプションでウインドウ表示に出来ないが、「F11キー」でウインドウ化できる。PCOTを使ったり、コピペでメモを書き留めたりするのには、なにかと便利。フルスクリーンは疑似だから、PCOTが使えないわけではないのだが。

●このウインドウは、つまんで移動できないため、ゲーム外枠をずりずりと引っ張ってずらさないといけないのがちょいめんどくさい。

●平易な文章、きれいなフォント、リアルタイム性ゼロで、PCOT翻訳のためにあるようなゲーム。英語だからとためらう理由はない。翻訳された文章をコピペでメモができていく楽ちんさは、「日本語版」ではできない裏技だ。

●無料ゲームだと舐めていると、その内容の底なしなことに驚く。オープンワールドRPGと、ゲームブックという形は想像以上に相性がいい。飽きたら連載やめるつもりだったが、のめり込む一方だった。

●別に無料じゃなくていいから、もっとこういうゲームが出てほしい。シナリオを変えればいろんなの出来るはずだよね。これぞ完成度の高い「本格的なTRPG風ゲーム」だと思う。プログラムやアニメーションにカネかければいいってもんじゃないのだ。

●このあたりまでで28時間ほど遊んでいるが(今回ログ作りに半分ぐらい時間を使ってるかもしれない)、まだまだ行ってないダンジョンや町などが山程あり、どこにでも行くことができる。本当の意味でのオープンワールドといえるだろう。沼地は日替わりでいろんなイベントがおきる。

TRPGを意識した・・・というのは昨今のCRPGの定番になっているが、このゲームも典型的なそのタイプ。毎回の戦闘では、何の能力値とダイスの目を比較するのか、詳しく教えてくれるし、結果も表示される。その他にも、ダイスを振って判定する場面がいろいろある。

●戦闘中に、装備した武器やアイテムを取り替えることができる。能力値がそれによってプラマイされるので、一回一回のターンで有利な数字になるように、装備を取っ替え引っ替えすると手強い相手にも勝てる(ことがある)。HP回復アイテムなども無条件で使える。

●ランダムで通りがかりの人の名前やグラフィックが決まるようだ。だから、おそらくやるたびに印象が異なってくるはず。そして、それらの人によるサブクエストの数々が最高に楽しい。メインクエストをほっときたくなるぐらい。

●でも、最初のほうでランダム通行人のクエストをやりすぎると、途中からクエストがつきて(笑)しまい、新しい町でも「何も困ってない」と言われ続ける。もちろん、固定のクエストはなくならないが(たぶん)。

 

●『ダークウッズ日誌』PCOT翻訳プレイ|インデックス

The Secret of Darkwoods

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PCOT翻訳で遊ぶ【ダークウッズ日誌】まとめ5〈09日~10日〉カルト蠢く町で

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The Secret of Darkwoods 前回までは・・・

暗殺教団を追うために必要な三つのハーブを集めるため、ダンジョンを巡る

◆ダークウッズ秘録 第08回 (2024.03.20)


最後のハーブ

紫ローブの暗殺教団を追うために必要なハーブは、残りひとつだ。

クリフドウェルホロウ洞窟。自然の手で穿たれたであろうこの洞窟は、水が染み出して湿り、かび臭く、奥から何かの奇妙な音が聞こえて不安を煽る。
しばらく洞窟を探索し、ようやくダチュラという奇妙なハーブを見つけ、引き抜こうとする。
その時、足元が揺れ、地面が浮き上がった。
ここは地面ではなく、洞窟の怪物の体の上だったのだ。

地面からむくむくと巨大な身体が起き上がる。
「わしの毛をむしろうとしたな」怪物が吠える。
俺は躊躇なく怪物に駆け上り、頭から薬草?を引っこ抜いて、一目散に逃げ出した。
「毛をかえせ!薄汚い人間め!」

土ゴーレムの背で作物を育てるドワーフの昔話を思い出してニヤリとし、ついでに洞窟の奥を探って(結構いいものがあった。ルーン文字を読むとまた少し賢くなった)俺は洞窟を去った。

ようやく三種の薬草が揃った。自然の寺院に戻り、カルトどもの行方を探知してもらおう。


瞑想

 

ハーブでトランス状態になった学者は語る。
「罪なき光の秘密教団が、フェルウィッチの町の地下に本部を置いている。入り口は暗くて汚く見えたから、下水道を通らねばならないだろう」
俺は学者に深く感謝し、次の目標に向かう。

カルトが潜む町

フェルウィッチは王国の丘陵に位置するこの国屈指の大都市である。狭い路地にそびえ立つ建物は、商人や旅行者、日常生活を営む市民でごった返している。この街は活気あるマーケットで知られており、地元の工芸品や食べ物とともに、遠い国からのエキゾチックな商品が並んでいる

町の雰囲気からはまったく伝わってこないが、ここがカルト教団の本拠地だ。ここで俺の過去に関わる何かが明らかになるのは間違いないだろう。

歩いていると、可愛らしい少年が満面の笑みで手をふってくれる。

◆ダークウッズ秘録 第10回 (2024.03.21)

幸福な少年

その少年と話をする。世間知らずだがとても賢く、幸せそうだ。彼と彼の母親は貧しいが、決して自分たちを不幸だとは思っていないという。心配事は多いが、不幸ではないと。
母親のカタリーナは地元のお菓子屋の店主で、彼は近くへの配達を手伝っている。

「父はずっと家にいないよ。仕事が忙しくて家に帰れないんだ。父の仕事場に行って、この手紙を渡してもらえませんか?旅のおみやげにクッキーをたくさんあげるよ」

それはなかなか魅力的な契約ではないか。

鍛冶屋にて

少年から、忙しくて帰らないという父への手紙を預かり、父親が働いているという町の鍛冶屋へ行く。

鍛冶屋の前には、黒く汚れたエプロンをつけた、職人らしき男がいた。
彼に、手紙を持ってきた旨を伝えると「息子からの手紙?頭がおかしいのか?」と呆れられる。父親は三年前、仕事中に事故で亡くなっているという。
「夫人には少額だが、賠償金を送り続けているよ」

苦い報酬

少年は、同じ場所で幸福そうに、にこにこしながら、父親を待ち続けている。

「手紙を届けてくれた?パパにとても会いたいな」
「少しママと二人で話したいんだ」
「いいよ、家に入って」

未亡人に鍛冶屋で聞いたことを話す。
「父親のことをなぜ子供に言わないんだ?」と、問う。 

「簡単に言わないで。あの子が毎日幸福な顔をしていられるのは、父親が帰ってくると信じているから。それだけなの。もし本当のことを知ったら、絶望で潰れてしまうわ」

それは違うと、口から出かけたが、本当か?
それを言う資格が俺にあるのか?
「出過ぎた真似をしました」 俺はそう言って、その場を去るしかなかった。

クッキーは手に入らなかった。


迷いの沼

  

苦い気分を抱えて、酒場、宝石店、雑貨屋など、カルトの気配をチェックして回る。酷い環境の牢獄までも。
錬金術士の店で、マンドレイク採集の依頼を受ける。それが自生しているという“迷いの沼”に向かった。

ブーツに染み込む汚泥に閉口しつつ、腐った植物や動物の死骸の間を探し続ける。
快適な場所とは言いかねるが、生命の気配にあふれている。

マンドレイクを探していると、植物の茂みから、人影らしきものが突然あらわれ襲ってきた。
ゾンビだ。問答無用で戦闘になる。

腐肉とドロドロした何かを撒き散らし、やがてゾンビは泥の中に倒れた。
その骸の傍らに、目的のマンドレイクが生えているのを見つける。

湿気と毒虫と腐敗臭にまみれていても、ここは多様な生物の宝庫だ。
ふと見ると、濁った水に美しい白鳥が浮かんで、俺を見つめている。
親しげに、明らかに意思を持ち、なにかを伝えようとするかのように強い眼力で見つめてくる。だが、その真意はうまく伝わらない。

まあ、俺は馬鹿だしな・・・。

 

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